タイトル
第49巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

慢性骨髄性白血病治療中に発生した肺大細胞癌の1手術例

松岡 英仁1, 八田 健1, 久島 健之2
兵庫県立淡路病院 1外科, 2放射線科

背景.慢性骨髄性白血病(以下CML)に肺癌を合併した報告例は少ない.症例.59歳男性.CMLのためメシル酸イマチニブによる加療中,右上肺野に50×45 mmの胸部異常影が指摘されB3aからの気管支鏡下擦過細胞診で原発性非小細胞肺癌と診断された.右上葉を中心に重度の気腫性変化を示していたが,肺機能検査では機能低下が比較的軽度であったためイマチニブの服用を中断することなく右上葉切除を行った.術後病理検査では大細胞癌と診断され,気管気管支リンパ節に単発の転移を認めたため,T2N2M0,p-stage IIIAと判定された.術後2日目に顔面,上肢を中心に中等度の浮腫を認めたため利尿剤を投与し,トラヘルパーを挿入して多量の喀痰吸引を行ったが,その他は特記すべき合併症なく軽快退院した.結論.イマチニブによりCMLの長期予後は飛躍的に改善しており,合併悪性腫瘍に対しても積極的な治療が望まれるようになった.しかし本薬剤は周術期に様々な有害事象を発生させる可能性があり,殺細胞抗癌剤との併用に関する報告例も少ないことから慎重な治療計画策定が必要である.
索引用語:慢性骨髄性白血病, 原発性肺癌, メシル酸イマチニブ, 術後合併症

受付日:2008年8月22日
受理日:2009年4月22日

肺癌 49 (6):844─846,2009

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