タイトル
第49巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

小細胞肺癌に伴い多彩な神経症状を呈した傍腫瘍性脳幹脳炎・亜急性感覚性ニューロパチーの1例

工藤 恭子1, 出水 みいる1, 高山 浩一1, 福山 聡1, 田中 謙太郎1, 中西 洋一1
1九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設

背景.小細胞肺癌は,傍腫瘍性神経症候群の一病型である傍腫瘍性脳幹脳炎,亜急性感覚性ニューロパチーを稀に合併する.その診断や神経症状に対する治療は困難な場合がある.症例.71歳男性.失神,複視,眼瞼下垂,嚥下障害が出現し入院した.頭部MRIでは異常所見を認めなかった.胸部CTにて縦隔リンパ節腫大を認め,同部位の生検にて小細胞肺癌cT4N2M0,stage IIIBと診断した.抗Hu抗体が陽性であり,神経症状については傍腫瘍性脳幹脳炎・亜急性感覚性ニューロパチーと診断した.化学療法を行い腫瘍縮小効果は認めた(partial response:PR)が,神経症状は増悪した.結論.傍腫瘍性脳幹脳炎・亜急性感覚性ニューロパチーを合併した小細胞肺癌の症例を経験した.傍腫瘍性神経症候群には様々な病型があり,今後はそれぞれの神経症状に対する治療法についても検討が必要である.
索引用語:傍腫瘍性神経症候群, 傍腫瘍性脳幹脳炎, 亜急性感覚性ニューロパチー, 小細胞肺癌, 抗Hu抗体

受付日:2009年1月7日
受理日:2009年5月8日

肺癌 49 (6):852─856,2009

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