タイトル
第49巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

Gefitinib治療中に疼痛補助薬によるDrug-induced hypersensitivity syndromeを発症した1例

中村 信元1, 堀内 宣昭1
1健康保険鳴門病院内科

背景.drug-induced hypersensitivity syndrome(DIHS)は,高熱と臓器障害を伴う薬疹で,疼痛補助薬などで惹起されるまれな現象である.症例.74歳女性,喫煙歴なし.2006年11月より右胸痛が出現し,右肺下葉肺癌と全身骨転移を認めたことより,肺腺癌stage IVと診断した.carboplatinとpaclitaxelの併用療法を行ったが副作用で中断.gefitinib投与でPRに導入しえた.同時期に両下肢の電撃痛が出現したため,carbamazepine,mexiletineを順次追加投与して疼痛は軽快した.gefitinib開始6週後に発熱,全身皮疹,下痢,肝障害,末梢血中の異型リンパ球が出現,gefitinibを含む投与中の薬剤を順次中止してステロイドを投与したが皮疹は遷延した.8週後にサイトメガロウイルス肺炎を合併し,carbamazepineまたはmexiletineによる非典型DIHSと診断した.gefitinibの再投与が不能で2007年7月,肺癌死した.結論.gefitinib治療中の肺癌患者で疼痛補助薬などを投与している場合には,DIHSが発症する場合があり,その症状がgefitinibの副作用と類似していることを念頭におく必要がある.
索引用語:薬剤性過敏症症候群, gefitinib, 間質性肺炎, 肺癌

受付日:2009年3月4日
受理日:2009年5月8日

肺癌 49 (6):857─862,2009

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