タイトル
第49巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

腸重積にて発見された肺癌小腸転移の1例

皆川 幸洋1, 小松 英明1, 板橋 英教1, 下沖 収1, 阿部 正1, 赤坂 威一郎2
岩手県立久慈病院 1外科, 2消化器科

背景.肺癌は早期に遠隔転移をきたしやすい悪性腫瘍で肝臓,副腎,脳,骨などへの転移率が高いが消化管への転移は比較的稀である.症例.85歳男性,血痰にて当院呼吸器科に入院中.喀痰細胞診で腺癌の診断.嘔吐を認めイレウス症状にて精査施行.CTにてtarget signを認め腸重積疑いで緊急手術施行.Treitz靭帯から90 cm,160 cmの部位に腸重積を認めそれぞれ小腸部分切除術施行.また,240 cmの部位に腫瘤を認め同時に部分切除術を施行した.病理組織検査では,3病変とも同様な組織像で肺腺癌小腸転移であった。術後101病日で癌死された.結論.今回我々は肺癌の小腸転移による腸重積の1例を経験したので報告した.肺癌患者でイレウス症状を発症した場合,小腸転移による腸重積を念頭に置き早期検査,診断,外科的治療が望まれると考えられた.
索引用語:肺癌, 小腸転移, 腸重積

受付日:2009年3月25日
受理日:2009年6月23日

肺癌 49 (6):877─880,2009

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