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第49巻第6号目次 Japanese/English

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─ 第23回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

がん抑制遺伝子CADM1/TSLC1による肺がん抑制機構の解析

村上 善則1
1東京大学医科学研究所人癌病因遺伝子分野

目的.非小細胞肺がん(NSCLC)の新規がん抑制遺伝子CADM1/TSLC1の非小細胞肺がんにおける異常の実態とその意義を明らかにする.方法CADM1遺伝子プロモーター領域のメチル化は重亜硫酸処理・塩基配列決定法,重亜硫酸処理・SSCP法にて解析した.CADM1タンパク質は,特異抗体を用いた免疫組織染色,免疫ブロット,免疫沈降法などにより解析した.結合タンパク質は酵母2ハイブリッド法などにより同定した.CADM1の発現とその抑制は,全長cDNA,あるいは特異的siRNAの導入により行った.結果.CADM1が細胞接着分子として機能し,細胞内では4.1B/DAL-1やMPP3と結合すること,上皮様細胞形態の形成に必須であることを見出した.NSCLC 103例の解析から,CADM14.1B遺伝子のメチル化による不活化が45例(44%),59例(57%)にそれぞれ認められ,がんの進展に伴って不活化すること,肺腺がんでは患者の予後不良と相関することを見出した.結論.細胞接着分子CADM1,アクチン結合タンパク質4.1Bを含む分子経路が,非小細胞肺がんの重要な腫瘍抑制経路であることを明らかにした.
索引用語:非小細胞肺がん, がん抑制遺伝子, CADM1/TSLC1, 4.1B/DAL-1, メチル化

肺癌 49 (6):910─916,2009

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