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第49巻第7号目次 Japanese/English

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─ 委員会報告 ─

2002年の肺癌治療例の全国集計に関する報告

肺癌登録合同委員会, 日本肺癌学会, 日本呼吸器外科学会, 日本呼吸器学会, 澤端 章好1, 淺村 尚生2, 呉屋 朝幸3, 森 雅樹4, 中西 洋一5, 江口 研二6, 輿石 義彦3, 土屋 了介2, 奥村 明之進1, 宮岡 悦良7, 藤井 義敬8
1大阪大学大学院医学系研究科臨床系外科学専攻外科学講座呼吸器外科, 2国立がんセンター中央病院呼吸器外科, 3杏林大学呼吸器外科, 4札幌厚生病院呼吸器科, 5九州大学大学院医学研究院附属胸部疾患研究施設, 6帝京大学腫瘍内科, 7東京理科大学理学部, 8名古屋市立大学大学院医学研究科腫瘍・免疫外科学

目的.本邦における2002年の肺癌治療成績を明らかにする.方法.肺癌登録合同委員会は,初診が2002年であった原発性肺癌を対象として登録を行い,2004年,2009年に追跡した.358施設から18,552例の登録がなされたが,生存期間の判明した14,695例を検討した.結果.男女比は2:1,平均年齢は67.1歳,分布は,組織型は腺癌が56.7%,扁平上皮癌が25.7%,小細胞癌が9.2%,臨床病期はIA期29.3%,IB期15.3%,IIA期1.4%,IIB期6.2%,IIIA期11.6%,IIIB期14.4%,IV期20.7%,手術あり症例は57.5%,手術なし症例は39.0%であった.5年生存率は,全組織型で44.3%,小細胞癌で14.7%,非小細胞癌で46.8%,手術あり症例,手術なし症例で,それぞれ66.0%,8.5%,男性,女性でそれぞれ37.7%,59.0%であった.臨床病期別では小細胞癌,非小細胞癌それぞれ,IA期(52.7%,79.4%),IB期(39.3%,56.9%),IIA期(31.7%,49.0%),IIB期(29.9%,42.3%),IIIA期(17.2%,30.9%),IIIB期(12.4%,16.7%),IV期(3.8%,5.8%)であった.結論.2002年の本邦における肺癌治療例は,腺癌が最も多く扁平上皮癌,小細胞癌が続いた.予後は5年の経過で,女性が男性より良く,非小細胞癌が小細胞癌より良く,手術あり症例が手術なし症例より良好であった.これらの差が生じている要因についてはさらなる検討を要する.
索引用語:肺癌, 臓器がん登録, 予後

肺癌 49 (7):975─987,2009

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