第49巻第7号目次 | Japanese/English |
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─ 原著 ─
悪性胸膜中皮腫を対象としたLY231514(ペメトレキセド)とシスプラチン併用療法の安全性情報収集のための臨床試験
福岡 和也1, 本村 文宏2, 國頭 英夫3, 樋田 豊明4, 中川 和彦5, 玄馬 顕一6, 新海 哲7, 一瀬 幸人8, 南部 静洋9, 中野 孝司11兵庫医科大学呼吸器内科, 2国立大学法人北海道大学医学部第一内科, 3国立がんセンター中央病院呼吸器内科, 4愛知県がんセンター中央病院呼吸器内科, 5近畿大学医学部附属病院腫瘍内科, 6独立行政法人労働者健康福祉機構岡山労災病院呼吸器科, 7独立行政法人国立病院機構四国がんセンター呼吸器内科, 8独立行政法人国立病院機構九州がんセンター呼吸器科, 9日本イーライリリー株式会社
目的.悪性胸膜中皮腫に対するLY231514(ペメトレキセド)とシスプラチン併用療法の安全性について確認する.方法.対象は手術適応のない,組織診にて確認された悪性胸膜中皮腫で,全身化学療法による前治療歴がなく,年齢20~75歳,PS 0~1,主要臓器機能が保持された症例.ビタミン剤投与下に21日を1サイクルとして,1日目にペメトレキセド500 mg/m2,シスプラチン75 mg/m2を点滴静脈内投与した.結果.解析対象12例の内訳は,男性/女性:10/2,平均年齢63歳(50~73歳),上皮型/肉腫型/二相型:8/2/2,III/IV期:10例,アスベスト曝露歴ありが7例であった.グレード3以上の血液毒性は,白血球数減少と好中球数減少が各1例(8.3%),リンパ球数減少と赤血球数減少が各2例(16.7%),ヘモグロビン減少4例(33.3%),血小板数減少2例(16.7%)であった.また肺炎を1例(8.3%)に認めた.非血液毒性では,悪心,嘔吐,食欲不振などの消化器毒性の発現頻度が高かった.奏効率は25.0%であった.結論.悪性胸膜中皮腫に対する本併用療法の安全性が確認された.
索引用語:悪性胸膜中皮腫, LY231514, ペメトレキセド, シスプラチン, 化学療法
受付日:2008年12月12日
受理日:2009年4月21日
肺癌 49 (7):988─993,2009