第49巻第7号目次 | Japanese/English |
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─ 原著 ─
胸膜中皮腫の臨床的検討―岡山労災病院における81例の検討―
西 英行1, 鷲尾 一浩1, 藤本 伸一1, 玄馬 顕一1, 岸本 卓巳1, 清水 信義11岡山労災病院アスベスト疾患ブロックセンター
目的.胸膜中皮腫の臨床像および予後について検討した.対象.1993~2008年に診断・治療した胸膜中皮腫81例を対象とした.結果.男性74例,女性7例で,平均年齢は66.0歳であった.アスベストばく露歴を71例(87.7%)に認め,症状発見が71例(87.7%)であった.確定診断は,55例(67.9%)が胸膜生検で得られた.初診から診断までに平均4.5ヶ月を要した.治療は,化学療法もしくは放射線療法が40例,手術療法が24例,対症療法が17例に行われた.予後に関しては,全症例の生存期間中央値は10.8ヶ月で5年生存率が5.0%であった.手術療法の1年および3年生存率は65.1%と23.2%で,生存期間中央値は13.2ヶ月であった.また,化学療法の1年および3年生存率は39.2%と0%で,生存期間中央値は10.8ヶ月であり,手術療法と化学療法の生存率の間に統計学的有意差を認めた(p=0.04).Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析では,手術の有無による相対危険率は1.622であった.結論.胸膜肺全摘術の有効性が認められたが,依然予後不良の疾患であり,早期発見と有効な治療法の確立が急務であると考えられた.
索引用語:胸膜中皮腫, 胸膜肺全摘術, 予後
受付日:2009年1月6日
受理日:2009年6月8日
肺癌 49 (7):999─1005,2009