タイトル
第49巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

非小細胞肺癌における開胸時洗浄細胞診陽性症例についての検討

船越 康信1, 竹内 幸康1, 野尻 崇1, 木村 亨1, 前田 元1
1独立行政法人国立病院機構刀根山病院呼吸器外科

背景.原発性肺癌手術症例の中には開胸時に明らかな胸水貯留や播種病巣を認めないにもかかわらず,胸腔内洗浄細胞診が陽性を示すことがある.方法.1999年からの9年間に開胸時胸腔内洗浄細胞診を302例に施行した.うち陽性は20例(6.6%)で,陰性は282例(93.4%)であった.この2群間で再発形式,予後などの比較検討を行った.結果.臨床病期では両群間に差を認めなかったが,病理病期では陽性症例でIII期以上の割合が高かった(45% vs 13%;p=0.014).病理学的N因子では陽性症例でN2の割合が有意に高く(40% vs 9%;p=0.001),病理学的P因子においても陽性症例でP2,3の割合が有意に高かった(55% vs 11%;p<0.0001).また陽性症例では70%に再発を認め,術後再発率が有意に高かった(p<0.0001).初再発部位に関しては陽性症例で21%に局所再発を認め,局所再発の割合が有意に高かった(p=0.02).生存率では両群間に有意差は認めなかったが,陽性症例の方が予後不良であった(5年生存率46% vs 71%).無再発生存期間では陽性症例の方が陰性症例よりも有意に短かった(p<0.0001).結論.開胸時胸腔内洗浄細胞診陽性症例の術後再発率は高く,局所再発のみならず遠隔転移にて再発することが多い.洗浄細胞診陽性症例の再発を予防する集学的治療の確立が必要であろうと思われた.
索引用語:胸腔内洗浄細胞診, 非小細胞肺癌, 再発, 手術

受付日:2009年3月23日
受理日:2009年6月17日

肺癌 49 (7):1006─1010,2009

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