第49巻第7号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
多発肺浸潤影を呈した肺原発MALTリンパ腫の1治験例
尾立 西市1, 中西 良一1, 岡 壮一1, 前田 基1, 久保井 礼1, 松原 不二男2国家公務員共済組合連合会新小倉病院 1呼吸器センター, 2血液内科
背景.肺原発mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫は比較的稀な疾患であり,未だに確立された治療法はない.今回我々は肺に多発した肺原発MALTリンパ腫の1例を経験したので報告する.症例.60歳,男性.右背部痛を主訴に来院.胸部CT上,右S3,S8,左S10に多発する浸潤影を認めた.気管支鏡検査では確定診断が得られず,胸腔鏡下右肺下葉切除術による切除標本の免疫組織学的検索および遺伝子解析の結果より,肺MALTリンパ腫と診断した.R-COP(rituximab,cyclophosphamide,vincristine,prednisolone)療法を6コース施行した結果,画像上CRを認めた.6ヶ月経過した現在も再燃の徴候はない.結論.肺に多発した肺原発MALTリンパ腫に対し,rituximabを含む全身化学療法にてCRを認めた1例を報告した.
索引用語:肺原発MALTリンパ腫, 胸腔鏡下手術, 化学療法, 完全寛解
受付日:2009年2月6日
受理日:2009年5月12日
肺癌 49 (7):1032─1037,2009