タイトル
第49巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肺癌と縦隔リンパ節結核を同時期に発症し診断に難渋した1例

一瀬 淳二1, 河野 匡1, 藤森 賢1, 吉屋 智晴1, 川畑 雅照2
1虎の門病院呼吸器センター外科, 2虎の門病院分院呼吸器科

背景.縦隔リンパ節結核の成人発症は比較的まれであり,肺癌リンパ節転移との鑑別が問題となる.症例.67歳男性,喫煙指数2100.後腹膜脂肪肉腫の既往があり,慢性腎不全にて血液透析を行っていた.胸部CTにて両肺の結節,右肺門・気管前リンパ節の腫大を認めた.抗酸菌検査は全て陰性であり,positron emission tomography(PET),気管支鏡検査などの結果よりリンパ節転移を伴う肺小細胞癌を疑ったが,胸腔鏡下生検にて縦隔リンパ節結核と診断された.抗結核療法を開始したところ,右肺門・縦隔リンパ節および右上葉の結節は著明に縮小したが,左上葉の結節は急速に増大し,胸腔鏡下左上葉切除・リンパ節郭清を行い原発性肺癌(扁平上皮癌,pT1N0M0,IA期)の診断を得た.結論.縦隔リンパ節結核は細菌学的検査で診断が得られにくく,PETにおいても肺癌リンパ節転移との鑑別が困難となる場合がある.結核患者に対しては,肺癌を合併するリスクの高さを踏まえ,注意深い観察と積極的な診断へのアプローチを行い,診断が遅れることのないよう注意しなければならない.
索引用語:肺癌, 縦隔リンパ節結核, PET

受付日:2008年12月4日
受理日:2009年7月30日

肺癌 49 (7):1043─1048,2009

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