タイトル
第49巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

中手骨への単独転移が診断された原発性肺癌の1剖検例

高尾 匡1, 塙平 孝夫1, 善家 義貴1, 四竃 純1, 伊藝 博士1, 井上 恵理1
1板橋中央総合病院呼吸器科

背景.原発性肺癌の手指骨への転移は稀である.症例.79歳,男性.労作時の呼吸困難を主訴に受診.胸部X線で右下肺野に腫瘤影を認めた.経気管支肺生検で扁平上皮癌が証明され,原発性肺扁平上皮癌(cT4N2M0,stage IIIB)と診断した.カルボプラチンとゲムシタビンによる化学療法を4コース施行したが,右手背部の疼痛,腫脹が出現した.単純X線像で第3中手骨に溶骨性の骨破壊像を,骨シンチグラムでは異常集積像を認め,MRIではT1強調画像で低輝度,T2強調画像で高輝度の腫瘍を認めた.骨生検では扁平上皮癌の所見であった.その後,肺原発巣,右中手骨転移巣の増大,肝,脳転移の出現を認め,ビノレルビンとパクリタキセルによる化学療法を,脳転移に対してはガンマナイフ治療を施行したが,全身状態が悪化し永眠された.剖検では肺原発巣は高~中分化扁平上皮癌で,中手骨および脳転移巣も同様の病理所見であった.結論.原発性肺癌の治療経過中に右第3中手骨への単独転移を診断した稀な1例を経験したので報告する.
索引用語:肺癌, 中手骨転移, 剖検

受付日:2009年5月18日
受理日:2009年8月5日

肺癌 49 (7):1049─1054,2009

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