タイトル
第50巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

急性腹症を契機に診断し得た肺癌回腸転移の2例

後町 杏子1, 磯部 和順1, 阪口 真之1, 坂本 晋1, 渋谷 和俊2, 本間 栄1
東邦大学医療センター大森病院 1呼吸器内科, 2病理部

背景.肺癌回腸転移は生前診断されることは稀である.症例.症例1は61歳男性.非小細胞癌の術後再発で,化学療法中に急性腹症を発症した.胸部X線,腹部CTにて腹腔内にfree airを認め,消化管穿孔と診断した.緊急手術を行ったところ,回腸に腫瘍を認め,肺癌の回腸転移による消化管穿孔と診断した.術後3日目に敗血症で死亡した.症例2は72歳男性.非小細胞癌(cT3N2M1,stage IV)で,化学療法施行中に急性腹症と大量下血を認めた.保存的治療では症状が改善せず,開腹手術を行ったところ回腸に腫瘍を認め,肺癌回腸転移からの出血と診断した.術後1カ月で癌死した.結論.今後,急性腹症を生じ緊急処置を要する可能性のある小腸転移の早期発見を目的としたFDG-PETやPET-CT検査によるスクリーニング,さらに消化管に集積を認めた症例には,積極的な消化管内視鏡検査による診断が必要であると考えられた.
索引用語:肺癌, 回腸転移, 消化管穿孔, 急性腹症, 下血

受付日:2009年7月7日
受理日:2009年9月9日

肺癌 50 (1):21─26,2010

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