 |
第50巻第1号目次 | Japanese/English |
 | Full Text of PDF (1061K) Article in Japanese |
─ 症例 ─
ゲフィチニブにより奏効をみたEGFR遺伝子変異を伴う肺粘表皮癌の1例
玉置 岳史1, 谷尻 力1, 片芝 雄一1, 今村 麻衣子1, 米津 精文1, 福原 資郎11関西医科大学附属枚方病院呼吸器内科
背景．肺および気管支に発生する粘表皮癌は肺癌のなかの稀な組織型であり，進行期での有効な治療は確立していない．症例．41歳男性．頭痛，背部痛を主訴に近医を受診し，右下顎部腫瘤生検より腫瘍性病変を，胸部CTで右肺門部腫瘤を認め，当科へ紹介された．気管支鏡検査にて右中葉気管支内腔を狭窄する広基性腫瘤を認め，生検にて高悪性度の粘表皮癌と診断した．FDG-PETでは縦隔リンパ節，肝，骨，皮膚，筋肉に多発する集積像がありcT1N2M1，stage IVと診断した．カルボプラチン，パクリタキセル併用療法を開始するも，治療抵抗性であり肝転移，骨転移の増大をみた．2次治療として，ゲフィチニブを投与したところ奏効が得られ，腫瘍サンプルよりexon19欠失を検出した．結論．粘表皮癌にはEGFR遺伝子変異を伴う症例が存在し，EGFRチロシンキナーゼ阻害薬により抗腫瘍効果が得られる可能性がある．
索引用語：粘表皮癌, EGFR遺伝子変異, ゲフィチニブ, 高悪性度, FDG-PET
受付日：2009年6月15日
受理日：2009年9月14日
肺癌 50 (1)：27─32，2010
