タイトル
第50巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

悪性胸膜中皮腫確定診断のための胸膜生検

三村 剛史1, 宮田 義浩1, 津谷 康大1, 沖田 理貴1, 川崎 由香里1, 櫛谷 桂2, 武島 幸男2, 井内 康輝2, 有廣 光司3, 岡田 守人1
1広島大学原爆放射線医科学研究所腫瘍外科, 2広島大学大学院医歯薬学総合研究科病理学, 3広島大学病院病理部

目的.悪性胸膜中皮腫(MPM;malignant pleural mesothelioma)の予後不良の一因には早期症例に対する確定診断の難しさが挙げられる.胸腔鏡下胸膜生検が推奨されるが,これでも十分ではない.そこで今回,我々が行ってきた壁側胸膜全層切除を基本とした胸膜生検の有用性について検討した.対象と方法.2007年4月より2009年3月まで施行した胸膜生検症例12例を対象にした.MPMの確定診断後に胸膜肺全摘術を含む開胸手術を行う際,生検部位の合併切除が必須となるため,その皮膚切開予定ライン上に2~3 cmの皮切をおいた.直視下に壁側胸膜外側の胸内筋膜側を露出,2×1 cm大の短冊状に壁側胸膜全層を採取した.術中迅速診断にて十分なサンプルが採取されたか確認,もし十分であるとされなければ,さらに壁側胸膜欠損部から胸腔鏡にて胸腔内を検索,肉眼的に明らかな病変が存在すれば追加切除を考慮した.結果.胸膜生検12例を行い,MPM 8例(4例上皮型,1例二相型,3例肉腫型),胸膜炎4例を診断した.生検に伴う合併症は皆無であった.結論.MPMの確定診断には複数回の胸壁穿刺を回避し,胸膜生検による壁側胸膜の全層切除を基本にすることが重要である.
索引用語:悪性胸膜中皮腫, 胸膜生検, 胸膜肺全摘術

受付日:2009年9月14日
受理日:2010年1月26日

肺癌 50 (2):130─135,2010

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