第50巻第2号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
術前血清CKが異常高値を示した肺扁平上皮癌の1切除例
戸田 有宣1, 松本 勲1, 小田 誠1, 渡邊 剛11金沢大学心肺・総合外科
背景.肺癌患者において血清クレアチンキナーゼ(creatine kinase:CK)値が腫瘍マーカーのひとつとなることがある.症例.症例は61歳女性.検診で胸部異常陰影を指摘され当院受診となった.入院時の採血でCK分画が正常な高CK血症を呈していた.術前の精査にて神経筋疾患は除外された.胸部CTでは左S10に不整形結節を認めた.喀痰及び気管支鏡検査にて肺扁平上皮癌と診断し(cT2N0M0 stage IB),左肺下葉切除術を施行した.免疫染色にて腫瘍細胞にCK-MMとCK-BBの発現を認めた.術後5年経過した現在まで再発の徴候は認めていない.結論.血清CKの上昇は腫瘍細胞の産生によるものと考えられ,血清CK値が術後再発を予見させるひとつの指標となりうると考えられた.
索引用語:肺癌, クレアチンキナーゼ
受付日:2009年3月5日
受理日:2010年1月28日
肺癌 50 (2):162─165,2010