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第50巻第2号目次 Japanese/English

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─ 第24回肺癌集検セミナー ─

長崎県における肺癌検診の現況と問題点

富田 弘志1, 池田 瑠美2, 長田 智貴3, 早田 宏4, 河野 茂5
1長崎県健康事業団, 2長崎県がん検診事業評価・精度管理室(長崎県健康事業団), 3長崎県福祉保健部, 4佐世保市立総合病院呼吸器科, 5長崎大学第2内科

目的.長崎県における肺癌検診の現状と問題点を明らかにする.方法.研究1:2001~2006年度の6年間に,胸部X線写真と喀痰細胞診を用いて行った肺癌集団検診について検討した.研究2:2006年度の長崎県肺癌検診の精度の評価のために,長崎県下のすべての自治体にがん検診事業評価のためのチェックリストならびに調査票を送り,アンケート調査を行った.結果.1:6年間の受診者総数は422,622人,発見肺癌は308人(肺癌発見率:10万対72.9),病期(臨床病期または病理病期)がI期の症例は156人(51%)であった.2:2006年度の長崎県全体の肺癌検診の受診率は20.1%,要精検率は4.8%,精検受診率78.6%,肺癌発見率0.08%,陽性反応的中度1.7%であった.各自治体では,必ずしも満足のいく精度管理は行われていなかった.結論.高い精度管理と受診率向上は有効な肺癌検診実現のために必要である.肺癌検診に携わる各自治体の担当者は精度管理が十分な検診機関に検診を委託するべきであり,検診機関は臨床病期I期の割合を高めることが必要である.さらにがん検診の結果を長崎県民に公開することにより,精度管理の重要性についての理解を深める必要がある.
索引用語:肺癌, 検診, 発見率, 精度管理, 胸部X線検査

肺癌 50 (2):194─200,2010

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