タイトル
第50巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)を用いた日本肺癌学会総会参加者の社会的ニコチン依存の評価

吉井 千春1,2, 井上 直征1, 矢寺 和博1, 野口 真吾1, 清水 真喜子1, 浦本 秀隆3, 花桐 武志3, 迎 寛1, 安元 公正3
1産業医科大学呼吸器内科, 2禁煙心理学研究会, 3産業医科大学第2外科

目的.社会的ニコチン依存は,喫煙を美化,正当化し,文化性を持つ嗜好として社会に根付いた行為と認知する心理状態であり,加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND)で定量化される.今回,日本肺癌学会参加者の社会的ニコチン依存をKTSNDを用いて評価した.方法.第49回日本肺癌学会総会の参加者にKTSND(10問30点満点)を含むアンケートを配布し,460名の回答を解析した.結果.KTSND(平均値±SD)は,非喫煙者(295名)10.5±5.6,前喫煙者(141名)12.9±5.9,喫煙者(24名)19.0±4.6で,喫煙者では有意に高かった.また非学会員や若い年代の参加者で高い傾向を示した.日常的に肺癌治療を行っている回答者は353名であった.これらの回答者は,肺癌患者への禁煙指導について,A;禁煙を達成してから治療を行う(82名)10.3±6.6,B;禁煙指導はするが,禁煙の成否にかかわらず治療を行う(235名)10.9±5.6,C;喫煙と肺癌の関係は説明するが,禁煙指導は行わない(26名)14.5±5.9, D;喫煙のことには特に触れない(5名)17.4±8.0と回答し,禁煙指導に関心を持たない回答者ほど有意に高かった.結論.日本肺癌学会参加者のKTSNDはこれまでの報告と変わらない値を示し,また肺癌患者への禁煙指導の態度を良く反映した.
索引用語:日本肺癌学会, 社会的ニコチン依存, 加濃式社会的ニコチン依存度調査票(KTSND), 禁煙指導

受付日:2009年12月24日
受理日:2010年3月31日

肺癌 50 (3):272─279,2010

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