タイトル
第50巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

肺癌完全切除例に対する術後化学療法―診療ガイドライン改訂後の実態調査―

横井 香平1, 光冨 徹哉1, 近藤 晴彦1, 丹羽 宏1, 吉田 和夫1, 太田 伸一郎1, 重光 希公生1, 矢野 智紀1, 田中 亨1, 高尾 仁二1
1中部肺癌手術研究会

目的.2005年の肺癌診療ガイドライン改訂で,IB~IIIA期非小細胞肺癌・完全切除例に対しては術後化学療法を行うよう勧められると変更された.その後の術後化学療法の実態を知るため,今回中部肺癌手術研究会で日常診療における術後化学療法の施行状況を調査した.方法.2006~2007年の肺癌完全切除例について,患者背景,術後化学療法の有無,施行レジメン,施行回数,非施行例についてはその理由,および施設毎の術後化学療法の方針について調査した.結果.30施設から3237例(IA期1636例,IB期664例,II期418例,IIIA期358例,IIIB期161例)が集積された.術後化学療法はIA期12%,IB期48%,II期52%,IIIA期66%,IIIB期60%に施行され,用いられた主なレジメンは,I期UFT,II~IIIB期プラチナベース化学療法であった.UFT投与例の72%が1年以上継続され,プラチナベース化学療法は55%の患者に3コース以上施行されていた.IB~IIIA期非施行例の理由としては,全身状態不良が多く,患者の拒否も21~36%に認められた.結論.術後補助化学療法は肺癌診療ガイドライン通りに,比較的多くの患者に十分投与されていた.しかしIA期例への投与や,施行レジメンの選択,真の治療効果などについては,今後さらに検討していく必要があると思われた.
索引用語:肺癌, 非小細胞肺癌, 外科療法, 術後化学療法

受付日:2010年2月15日
受理日:2010年5月6日

肺癌 50 (3):280─286,2010

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