第50巻第3号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
サードラインで用いたS-1が有効であった印環細胞成分を有する肺腺癌の1例
廣田 貴子1, 濱崎 慎2, 原田 泰志1, 藤田 昌樹1, 鍋島 一樹2, 渡辺 憲太朗1福岡大学医学部 1呼吸器内科学講座, 2病理学講座
背景.肺原発の印環細胞癌は稀な腫瘍であり,予後がよくない.抗癌剤の効果についてもまとまった臨床研究はない.症例.38歳,男性.検診で右肺の異常陰影を指摘され,受診した.右上葉の無気肺があり入院となった.気管支鏡下洗浄液の細胞診で腺癌と診断された.右中葉・下葉には癌性リンパ管症を示唆する陰影に加え,小脳虫部に転移結節があり,全身化学療法を行った.ドセタキセル+シスプラチン,イリノテカン+シスプラチンはいずれも無効で,S-1を次に選択した.S-1開始後,後腹膜の左腸腰筋外側や右副腎の転移結節が一時的ではあるが,著明に縮小した.死後剖検が行われ,印環細胞成分を有する肺原発腺癌であった.結論.胃癌に有効性が確認されているS-1の治療効果を肺原発印環細胞癌で検討する意義がある.
索引用語:印環細胞癌, 肺癌, S-1
受付日:2010年1月5日
受理日:2010年3月24日
肺癌 50 (3):287─291,2010