タイトル
第50巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

Gefitinib長期投与後の獲得耐性が疑われた進行肺腺癌に対しGEM(塩酸ゲムシタビン)+VNR(ビノレルビン)が奏効した1例

橋本 博史1, 中岸 義典1, 小原 聖勇1, 大鹿 芳郎1
1自衛隊中央病院胸部外科

背景.Gefitinibは非小細胞肺癌の10~20%の症例で腫瘍縮小効果を示す.上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor;EGFR)の遺伝子変異と密接な関係があるが,長期投与後にGefitinibに対する2次耐性が報告され,耐性化後の治療について明確な指針はない.我々はGefitinib長期投与後に耐性となった進行肺腺癌に対してGEM(塩酸ゲムシタビン)+VNR(ビノレルビン)の投与を行い奏効した1例を報告する.症例.症例は61歳女性.肺腺癌に対して導入化学療法を行った後,手術を施行,術中胸膜播種を認めたため試験開胸で終了,胸腔内CDDP(シスプラチン)投与を行い,化学療法を1クール施行,その後2002年10月よりGefitinib投与を開始し,腫瘍の縮小を認めた.投与開始5年半後2008年3月に明らかなPD(progressive disease)となったためGEM+VNRによる外来化学療法を開始,PR(partial response)を得た.結論.Gefitinib長期投与後に耐性化が疑われた進行肺腺癌に対してGEM+VNRの投与を行い奏効した1例を経験した.
索引用語:肺腺癌, Gefitinib耐性, ゲムシタビン, ビノレルビン

受付日:2010年1月26日
受理日:2010年4月13日

肺癌 50 (3):297─302,2010

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