タイトル
第50巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ダブルバルーン小腸内視鏡にて小腸転移と判明した肺腺癌の1症例

白山 敬之1, 緒方 嘉隆1, 南 誠剛1, 岡藤 浩平1, 辻本 正彦2, 小牟田 清1
大阪警察病院 1呼吸器内科, 2臨床病理科

背景.消化器症状から肺癌の小腸転移が発見されることは極めて稀である.症例.71歳男性が下血を主訴に当院受診.上部・下部消化管内視鏡検査にて異常は認められなかった.胸部CTにて右上肺野に小結節影,腹部CTにて肝内に複数の淡いlow-density area(LDA)を認めた他,小腸の壁肥厚が認められた.FDG-PETの結果,同部位に一致してそれぞれ異常集積が確認された.下血の継続と出血源の精査目的でダブルバルーン小腸内視鏡検査を施行した結果,空腸に潰瘍を伴う腫瘤が多数認められた.小腸腫瘍生検の結果,中ないし低分化度を示す腺癌と診断された.小腸原発腫瘍と肺癌からの転移を鑑別する目的でthyroid transcription factor-1(TTF-1)免疫染色を行った.その結果TTF-1陽性が明らかとなり,肺癌の小腸転移の可能性が示唆された.気管支鏡検査にて右上葉の小結節影に対して生検施行し,肺腺癌(cT1N0M1:stage IV)と確定診断された.結論.消化器症状にて発見され,小腸内視鏡,FDG-PET,TTF-1免疫染色が診断に有用であった肺癌の小腸転移の1症例を経験した.
索引用語:肺腺癌, 小腸転移, ダブルバルーン小腸内視鏡, FDG-PET, TTF-1

受付日:2009年8月24日
受理日:2010年4月23日

肺癌 50 (3):303─307,2010

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