タイトル
第50巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

末梢肺に発生した扁平上皮腺上皮性混合型乳頭腫の3例

石田 博徳1, 坂口 浩三1, 二反田 博之1, 山崎 庸弘1, 清水 禎彦2, 金子 公一1
埼玉医科大学国際医療センター 1呼吸器外科, 2病理診断科

背景.末梢肺に孤立性に発生した乳頭腫は稀であり,術前診断に難渋する.今回我々はその3切除例を報告する.症例.年齢は74,72,40歳の女性で非喫煙者であった.咳嗽1例,無症状2例で,CT画像ではそれぞれ径2.0,2.2,3.0 cmの比較的境界明瞭な充実性腫瘍であった.全症例で血中SCCの軽度上昇,1症例で血中CEAの軽度上昇を認め,FDG-PETを施行した2例とも異常高値を呈した.肺悪性腫瘍を疑い,肺葉切除を行った.病理では,3腫瘍とも扁平上皮成分と腺上皮成分に被われた線維血管性間質が乳頭状に増殖していたが,細胞異型はなく,最終診断は扁平上皮腺上皮性混合型乳頭腫であった.現在術後の再発はない.本邦における報告例15例を含めて検討した.結論.末梢肺発生の孤立性乳頭腫は,画像所見や生検による肺癌との鑑別は困難だが,腫瘍の完全切除により根治できると思われる.
索引用語:孤立性乳頭腫, 末梢肺, 扁平上皮腺上皮性混合型乳頭腫, 外科的切除

受付日:2010年2月16日
受理日:2010年5月13日

肺癌 50 (3):313─321,2010

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