タイトル
第50巻第4号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (562K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

切除により筋痛症様症状が軽快した肺腺癌の1例

木村 亨1, 竹内 幸康1, 船越 康信1, 楠本 英則1, 上田 佳世2, 前田 元1
国立病院機構刀根山病院 1呼吸器外科, 2病理診断科

背景.肺癌における腫瘍随伴症候群の中でも,リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica,以下PMR)様の筋肉痛を呈することは稀である.PMR様症状で発症した肺腺癌に対し根治術を施行することで症状軽快を認めた1例につき報告する.症例.62歳男性.2008年8月頃から四肢近位筋の筋肉痛とこわばりを自覚,改善しないため11月に糖尿病および高血圧症にて通院加療中の前医を受診,胸部X線で異常影を指摘され当院紹介となった.前医にてPMRと診断され,ロキソプロフェン3錠分3を投与されていたが,症状の改善はみられなかった.リウマトイド因子,抗シトルリン化ペプチド抗体は陰性であった.胸部CTで右S6に4.0×3.5 cmの腫瘤を認め,気管支鏡検査にて腺癌と診断(cT2aN0M0),右中下葉切除術およびリンパ節郭清(ND2a-2)を施行した.術後診断は肺腺癌pT2aN0M0であった.術後より筋肉痛は軽快,現在は軽度残存した手指のこわばりに対してロキソプロフェン1錠内服でコントロール良好である.結論.肺癌の腫瘍随伴症状の一つとしてPMR様の多発する筋肉痛を再認識する必要があると考えられた.
索引用語:腺癌, 肺癌, 腫瘍随伴症候群, 筋肉痛, リウマチ性多発筋痛症

受付日:2010年2月18日
受理日:2010年6月10日

肺癌 50 (4):353─356,2010

ページの先頭へ