タイトル
第50巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

手術療法により長期生存が得られているmulti-station原発不明縦隔リンパ節癌の1例

片岡 和彦1, 西川 敏雄1, 藤原 俊哉1, 松浦 求樹1
1広島市立広島市民病院呼吸器外科

背景.原発不明縦隔リンパ節転移は,まれである.症例.症例は8年前に早期胃癌切除の既往がある69歳の男性で,CEAの上昇を指摘された.FDG-PETが施行され,右上縦隔と右鎖骨上のリンパ節に異常集積が認められた.胸部CTにて,右上縦隔と右鎖骨上のリンパ節腫大を認め,肺内には腫瘤を認めなかった.リンパ節転移が示唆されたが,原発病巣は明らかではなかった.系統的右縦隔リンパ節郭清と腫大した鎖骨上リンパ節の摘出が施行された.multi-stationの縦隔リンパ節と鎖骨上リンパ節に及ぶ大細胞癌と病理診断された.17か月後,PETにて右鎖骨上リンパ節に異常集積が認められた.右頚部リンパ節郭清が施行され,1個のリンパ節に大細胞癌が認められた.術後補助化学療法として2年間UFT®が投与された.2回目の手術後4年5か月経過し,PET上での異常集積を認めておらず,CEAも上昇していない.結語.multi-stationの縦隔リンパ節,鎖骨上リンパ節に及ぶ原発不明癌の長期生存例を報告した.原発不明縦隔リンパ節癌はsingle-stationだけではなくmulti-stationであっても,完全切除を目指した手術が有効である可能性が示唆された.
索引用語:原発不明癌, 肺門縦隔リンパ節癌, 18F-fluorodeoxyglucose(FDG)-PET

受付日:2010年1月25日
受理日:2010年6月18日

肺癌 50 (4):357─361,2010

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