タイトル
第50巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

左肺動脈A5+8+9+10が左主肺動脈から分岐した肺癌の1例

片岡 和彦1, 西川 敏雄1, 藤原 俊哉1, 松浦 求樹1
1広島市立広島市民病院呼吸器外科

背景.左下葉肺動脈分岐の破格(variation)はまれである.症例.症例は67歳男性で,cT1aN0M0の肺癌に対し,左上葉切除を施行した.A5+8+9+10が左肺動脈根部から分岐し,左上肺静脈と左上葉気管支の間を下行する極めてまれな形態を示した.術後に施行したmultidetector-row CT(MDCT)による3D-CT angiographyにより,この分岐形態が描出された.左底区肺動脈が左主肺動脈から分岐する報告は,本邦5例目であったが,このタイプの分岐形態は,文献上報告が認められなかった.術前のMDCTによる3D-CT angiographyが,肺血管分岐の破格を検出するために有用である可能性がある.結語.左肺動脈A5+8+9+10の極めてまれな分岐形態を伴った肺癌の1例を報告した.
索引用語:肺動脈, 分岐破格, 肺癌, 3D-CT angiography

受付日:2010年5月12日
受理日:2010年6月22日

肺癌 50 (4):362─365,2010

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