タイトル
第50巻第4号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (943K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

HIV感染合併肺癌に対する胸腔鏡下肺葉切除術の1例

谷口 大輔1, 山崎 直哉1, 田川 努1, 土谷 智史1, 宮崎 拓郎1, 永安 武1
1長崎大学大学院腫瘍外科

背景.HIV感染者に発症する肺癌は海外において近年増加傾向にあるが,本邦における手術報告例は少ない.症例.57歳男性.肺炎を契機にHIV陽性と診断され,HAART(highly active antiretroviral therapy)内服開始となった.HIV感染診断5年後の胸部単純写真で左上肺野に結節影を指摘された.胸部CTでは左S1+2に21 mm大の結節を認め,PETでも同部と肺門リンパ節に集積が見られた.気管支鏡下擦過細胞診で診断は得られなかったが肺癌を強く疑った(cT1N1M0,stage IIA).血液曝露を少なくする目的もあり胸腔鏡下左上葉切除術を施行した.最終病理診断は腺癌で,進行度はpT1N2M0,stage IIIAであった.経過は良好で術後9日目に退院した.周術期を通じて職業感染対策のため血液曝露の機会を極力少なくするなど工夫を行った.結論.HIV感染合併肺癌でもHIV感染が良好に制御されていて全身状態が良好であれば通常と同様に手術が可能である.胸腔鏡下手術は血液汚染が少なく,感染防止に有用であった.
索引用語:原発性肺癌, HIV感染, 胸腔鏡下肺葉切除術

受付日:2010年1月22日
受理日:2010年6月23日

肺癌 50 (4):366─370,2010

ページの先頭へ