タイトル
第50巻第6号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (948K)
Article in Japanese

─ 原著 ─

非小細胞肺癌患者のpatient-reported outcome(PRO)評価法の現状と問題点―第III相臨床試験論文のreview―

組橋 由記1, 埴淵 昌毅1, 富本 英樹1, 東 桃代1, 兼松 貴則1, 柿内 聡司2, 後東 久嗣1, 多田 浩也2, 西岡 安彦1, 曽根 三郎1,2
徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 1呼吸器・膠原病内科学分野, 2腫瘍内科学分野

背景.近年,癌患者のquality of life(QOL)評価は治療法選択に重要な要素として注目されている.欧米ではQOLを把握する目的からpatient-reported outcome(PRO)が評価項目の1つとして評価されつつあるが,本邦においてはPROの認知度は低い.目的.非小細胞肺癌のQOL評価(PRO)の現状を検討する.対象と方法.今回,非小細胞肺癌に対する癌薬物療法の有用性を比較検討した第III相臨床試験の中から,患者の自己申告によるQOL評価であるPRO評価を評価項目とした報告(24試験)を抽出し,PROの評価方法,評価時期,PRO評価に対する患者のコンプライアンスなどについて検討した.結果.対象とした臨床試験の大多数では複数の評価方法によりPRO評価が行われており,European Organization for Research and Treatment of Cancer-Quality of Life Questionnaire-Core 30(EORTC QLQ-C30)が最も頻用されていた(17試験;70.8%).PRO評価の多くは治療開始前,各コース開始直前,治療終了時,その後1~3ヶ月ごとに行われていたが,患者のコンプライアンスは治療経過に伴って有意に低下し,全身状態の悪化などがその要因と考えられた.考察.PRO評価が,臨床試験における癌薬物療法の優劣を評価する方法の1つとして十分な情報となるよう問題点の検討をさらに進めていく必要があると思われる.
索引用語:肺癌, 癌薬物療法, Patient-reported outcome(PRO), QOL

受付日:2009年12月24日
受理日:2010年8月11日

肺癌 50 (6):791─802,2010

ページの先頭へ