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第50巻第6号目次 | Japanese/English |
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─ 原著 ─
肺多形癌5剖検例の臨床病理学的検討
匂坂 伸也1, 上原 正裕1, 原田 雅教1, 佐藤 潤1, 内山 啓1, 妹川 史朗1, 安田 和雅1, 谷岡 書彦2, 須田 隆文3, 千田 金吾3磐田市立総合病院 1呼吸器内科, 2臨床検査科病理, 3浜松医科大学呼吸器内科
目的．肺多形癌の症例報告は増加傾向にあるものの，剖検例を集積した報告はない．肺多形癌の臨床的および病理学的特徴を明らかにする必要があると考え，剖検を施行した症例につき検討を行った．対象と方法．2005年1月から2006年12月までに剖検で肺多形癌と診断した5例につき，臨床病理学的検討を施行した．結果．全例男性であり年齢は60～91歳（中央値69歳），喫煙指数は21～112.5 pack-years（中央値45 pack-years）であった．3例は経気管支生検で，他2例は胸水細胞診で悪性腫瘍の診断に至ったが，生前の組織診断は腺癌もしくは大細胞癌であり多形癌の診断は得られていなかった．病期はIIB期が1例，IIIB期が2例，IV期が2例であり，治療可能であった症例には化学療法，放射線療法を施行したものの生存期間は初診時から8～180日（中央値72日）と予後不良であった．剖検では肺癌で比較的稀とされる小腸転移を2例，脾臓転移を1例，腎臓転移を1例に認めた．いずれの症例も原発巣と転移巣で，癌腫成分と肉腫様成分の形態および比率に大きな相違は認めなかった．結論．肺多形癌において生検および細胞診による確定診断は困難であり，肺多形癌の頻度は従来の報告より多く存在する可能性がある．肺多形癌にはいまだ不明な点も多く，剖検例も含めさらなる症例集積が必要である．
索引用語：肺多形癌, 剖検, 病理解剖, 遠隔転移
受付日：2010年1月25日
受理日：2010年8月24日
肺癌 50 (6)：803─808，2010
