タイトル
第50巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 原著 ─

G-CSF産生腫瘍と考えられた肺肉腫様癌3例の検討

笠井 大介1, 小谷 義一1, 奥野 恵子1, 小林 和幸1, 船田 泰弘1, 西村 善博1, 大林 千穂2
1神戸大学大学院医学研究科呼吸器内科学, 2神戸大学医学部附属病院病理部

背景.肺肉腫様癌は肺癌の中でも比較的稀な腫瘍である.今回我々は,2006年から2007年にかけて著明な白血球増多とG-CSFの高値を伴う3例の肺肉腫様癌を経験したためこれらを報告する.症例.56歳男性,57歳男性,70歳女性.いずれもstage IIIB症例でありG-CSFの高値と著明な末梢血白血球増多を認めた.化学療法と放射線照射の同時併用療法を行い,2例ではpartial responseの効果が得られ,治療後1年以上の無病再発期間が得られたが,1例では治療経過中に腫瘍の増大と全身状態の悪化を認め,1コース終了後に治療を中断した.3例ともに治療経過中の腫瘍の縮小,増悪に並行して末梢血白血球数の減少,増加を認め,白血球数の推移は病勢と強く相関していた.結論.一般的に肉腫様癌,G-CSF産生腫瘍では予後不良の症例が多いと報告されているが,化学療法と放射線照射の同時併用療法を行うことにより予後の改善が期待できるものと思われた.
索引用語:肉腫様癌, G-CSF産生腫瘍, 化学療法, 放射線治療

受付日:2010年2月16日
受理日:2010年10月27日

肺癌 50 (7):894─900,2010

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