タイトル
第50巻第7号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (741K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

胸膜原発滑膜肉腫の1例

原 丈介1, 西 耕一1, 西川 晋吾1, 常塚 宣男2, 笠原 寿郎3, 藤村 政樹3
石川県立中央病院 1呼吸器内科, 2呼吸器外科, 3金沢大学大学院細胞移植学呼吸器内科

背景.胸膜および肺に原発する滑膜肉腫は非常に稀である.症例.35歳,男性.右肺の異常陰影の精査目的に当院に紹介された.胸郭内原発の悪性腫瘍が疑われ,当院呼吸器外科にて胸腔鏡を行った.右胸腔内は脆弱な腫瘍で埋め尽くされていた.病理学的に,腫瘍は密に増殖する紡錘形細胞から成り,多数の核分裂像を認めた.免疫組織化学的検索を行ったが,確定診断には至らなかった.腫瘍は急速に増大し,約2ヶ月後に呼吸不全にて死亡した.剖検時,右肺は腫瘍により圧排され,虚脱していた.外科切除標本からRNAを抽出し,reverse transcription polymerase chain reaction(RT-PCR)を行い,さらにダイレクトシークエンスを行い,PCR産物がSYT-SSX2融合遺伝子転写産物であることを確認した.胸膜以外に腫瘍を疑わせる所見を認めなかった.以上より,胸膜原発の滑膜肉腫と診断した.結論.非常に稀な腫瘍である胸膜原発の滑膜肉腫の1例を報告した.
索引用語:胸膜原発滑膜肉腫, SYT-SSX2融合遺伝子

受付日:2010年5月8日
受理日:2010年9月22日

肺癌 50 (7):906─911,2010

ページの先頭へ