タイトル
第50巻第7号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

胸腺に発生したMALTリンパ腫の1切除例

川野 亮二1, 儀賀 理暁2, 長谷川 弥子1, 吉村 雪野1, 塙平 孝夫3, 高尾 匡3
1板橋中央総合病院呼吸器外科, 2埼玉医科大学総合医療センター呼吸器外科, 3板橋中央総合病院呼吸器内科

背景.MALTリンパ腫は近年提唱された疾患概念で種々の臓器に発生し得るが,胸腺発生した例はきわめて稀である.症例.59歳,男性.健診時の胸部CT写真にて最大径7.5 cmの境界明瞭,内部濃度均一な腫瘤を指摘され,胸腺腫の術前臨床診断のもとに胸腺全摘術を行った.肉眼的に腫瘤は周囲と明瞭に境界される弾性硬の充実性の性状を示し,組織学的には既存の胸腺組織内に小型のcentrocyte-like cells(CCL)細胞の増殖を認めた.これらの細胞は免疫組織化学的にCD20抗体,bcl-2抗体および免疫グロブリン軽鎖のλ型が陽性であったことから胸腺に発生したMALTリンパ腫(胸腺嚢胞が併存)と診断された.結論.前縦隔病変の診断および治療は,胸腺に発生するMALTリンパ腫も考慮しておく必要がある.
索引用語:胸腺, MALTリンパ腫, 前縦隔腫瘍, 胸腺切除

受付日:2010年8月26日
受理日:2010年11月12日

肺癌 50 (7):932─936,2010

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