タイトル
第50巻第7号目次 Japanese/English

download PDFFull Text of PDF (519K)
Article in Japanese

─ 症例 ─

ゲフィチニブによりradiation recall pneumonitisを発症したEGFR遺伝子変異陽性肺腺癌の1例

猪俣 稔1, 宮 敏路1, 小久保 豊1
1日本医科大学多摩永山病院呼吸器・腫瘍内科

背景.Radiation recall pneumonitisは,放射線照射後にさまざまな薬剤で発現しうる照射想起反応のひとつであり,ゲフィチニブによるものは1例の報告のみである.症例.右上葉・中葉の重複肺腺癌術後に再発をきたした55歳の男性.右第6肋骨転移に対し疼痛コントロール目的で放射線治療(45 Gy/9 Fr)後に化学療法(カルボプラチン+ゲムシタビン)を施行したが胸水の増加を認めPDと判定した.この時点で放射線肺臓炎は認めなかった.胸水中の上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異は陽性(exon21:L858R)でありゲフィチニブ250 mg/日の内服を開始した.投与2週間後に乾性咳嗽および軽度の労作時呼吸困難が出現し,胸部X線写真およびCTで放射線照射野に一致したスリガラス影を認めた.ゲフィチニブによるradiation recall pneumonitisと診断し内服を中止した.プレドニゾロンの内服で改善傾向である.結論.本症例は放射線治療終了8ヶ月後に発現したradiation recall pneumonitisである.ゲフィチニブによる間質性肺疾患のモニタリングにおいては,先行する放射線照射にも配慮する必要がある.
索引用語:ゲフィチニブ, Radiation recall pneumonitis, 照射想起反応, 間質性肺炎, EGFR遺伝子変異

受付日:2010年4月1日
受理日:2010年11月15日

肺癌 50 (7):937─941,2010

ページの先頭へ