タイトル
第51巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

Brugada症候群を合併した肺扁平上皮癌の1例

柴田 雅彦1, 宮崎 健二1, 戸島 洋一1
1独立行政法人労働者健康福祉機構東京労災病院呼吸器内科

背景.Brugada症候群を合併した肺扁平上皮癌に化学療法を施行した症例を経験したので報告する.症例.左肺扁平上皮癌Stage IIIBと診断された58歳の男性.1st Lineとしてシスプラチン+ゲムシタビンで治療を開始したが,薬剤起因性の即時型アレルギーを発症して中断.レジメン検討中に,心電図V2誘導でのsaddle-back型ST上昇を確認.以前の心電図変化と併せて無症候性のBrugada症候群と診断.薬物治療や除細動器の適応はないとされた.このため,2nd Lineと3rd Lineには心毒性が少ない薬剤と判断したシスプラチン+ビノレルビンとカルボプラチン+イリノテカンを用いて治療を行った.また,4th Lineとしてドセタキセルを投与したが,いずれも安全に治療を行うことができた.結語.Brugada症候群を合併した悪性腫瘍を治療する際は,致死的不整脈の予防のために様々な対応が必要と考えられた.
索引用語:Brugada症候群, Brugada様心電図変化, 肺扁平上皮癌, 化学療法

受付日:2010年8月18日
受理日:2010年11月24日

肺癌 51 (1):1─4,2011

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