タイトル
第51巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

ゲフィチニブによる初回化学療法とサイバーナイフによる局所制御が有効であった副鼻腔転移を有する進行肺腺癌の1例

本田 健1,2, 斉藤 春洋1, 村上 修司1, 長谷川 千花子3, 礒部 威2, 山田 耕三1
1神奈川県立がんセンター呼吸器科, 2島根大学医学部内科学講座呼吸器・化学療法内科, 3神奈川県立がんセンター病理診断科

背景.肺癌はしばしば多臓器への転移を認めるが,鼻腔および副鼻腔への転移は稀であり,その予後は不良である.今回,副鼻腔転移により発見され,初回化学療法としてゲフィチニブ内服治療とサイバーナイフによる局所制御が有効であった症例を報告する.症例.71歳男性.鼻出血,眼球突出を主訴に来院し,精査により肺腺癌の副鼻腔転移と診断した.副鼻腔転移巣に対してサイバーナイフ治療を施行した.また,上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異(exon 21 point mutation)が陽性であったため,初回化学療法としてゲフィチニブ内服治療を行い,病巣は12ヶ月間にわたり制御されていた.その後,骨転移が進行したためエルロチニブに変更し,治療開始20ヶ月後の現在も,担癌生存中である.結論.肺癌の副鼻腔転移は,一般的に予後が不良である.しかし,EGFR遺伝子変異が陽性の症例の場合,初回化学療法としてゲフィチニブを選択し,サイバーナイフによる局所制御を行うことで長期の病勢制御が可能となる場合がある.今後,ゲフィチニブを初回化学療法として積極的に選択すべき病態について,検討する必要がある.
索引用語:ゲフィチニブ, 副鼻腔転移, 肺癌, 上皮成長因子受容体変異

受付日:2010年9月16日
受理日:2010年11月26日

肺癌 51 (1):5─10,2011

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