タイトル
第51巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

小腸転移により穿孔をきたしたラブドイド形質を伴った肺腺癌の1例

小林 尚寛1, 山岡 賢俊1, 後藤 行延1, 佐藤 幸夫1, 南 優子2, 野口 雅之2
筑波大学附属病院 1呼吸器外科, 2病理部

背景.肺癌の小腸転移は2.8~5.7%と頻度が低く,大細胞癌・未分化癌に多い.一方,ラブドイド腫瘍は1999年のWHO肺胸膜腫瘍の組織型分類において,大細胞癌の特殊型に加えられている.その予後は不良で,時に小腸転移が認められる.今回,我々はラブドイド形質を伴った肺腺癌で小腸転移をきたした1例を経験したので報告する.症例.64歳,女性.特発性間質性肺炎の経過観察中に胸部異常陰影を指摘された.気管支鏡下細胞診でclass IVの結果で,左肺腺癌を疑い,左肺下葉切除術を行った.病理組織診断は肺腺癌で,腫瘍全体の8%にラブドイド形質を伴った腫瘍細胞が混在していた.術後5カ月目に小腸穿孔を発症し,緊急手術を行った.病理組織診断はラブドイド形質を伴った腫瘍細胞による肺癌の小腸転移であった.術後化学療法を施行したが,再度小腸転移による穿孔を発症し,敗血症で死亡した.結論.ラブドイド形質を伴う肺癌は予後不良で,小腸転移をきたす可能性を含めた注意深い経過観察が必要である.
索引用語:肺癌, 小腸転移, ラブドイド形質

受付日:2010年7月20日
受理日:2010年12月20日

肺癌 51 (1):34─39,2011

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