第51巻第2号目次 | Japanese/English |
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─ 症例 ─
脈絡膜転移に伴う眼症状を契機に発見された肺小細胞癌の1例―視力予後影響因子の検討―
安藤 克利1, 小松 あきな1, 松田 正典2, 金子 教宏1亀田総合病院 1呼吸器内科, 2腫瘍内科
症例.73歳,男性.1カ月半前頃より視力低下を自覚.受診時,網膜剥離と脈絡膜に腫瘍性病変を認め,精査にて肺小細胞癌脈絡膜転移と診断された.治療開始を検討するも短期間で視力とPSが急速に低下.化学療法が開始できず,受診後1カ月で死亡された.考察.肺癌の脈絡膜転移は,近年報告が増加しているものの視力予後影響因子に関しては報告が少ない.今回我々は,本邦報告34例を視力予後良好例と不良例の2群に分け,視力予後影響因子について検討を行った.その結果,予後良好例は不良例と比較して若年で放射線治療を施行された症例が多い傾向にあった.視力低下によりPS低下や内科的治療継続困難になる症例の報告もあり,局所治療として放射線治療の重要性が示唆された.
索引用語:肺癌, 脈絡膜転移, 放射線治療
受付日:2010年10月20日
受理日:2011年1月24日
肺癌 51 (2):94─98,2011