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第51巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第24回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

緩和医療の現状と展望―シームレスながん医療のために知っておきたいこと―

田中 桂子1
1がん・感染症センター都立駒込病院緩和ケア科

肺癌患者では,特に疼痛・呼吸困難など難治性の苦痛症状が生じやすく,緩和医療・緩和ケアの果たす役割は大きい.以下の5つのキーワードをもとに緩和医療の現状を概説する.(1)がんになったら緩和ケアも:緩和ケアとは,病気の進行度とは関係なく症状やニーズがあれば提供されるべきものである.(2)がん難民をなくすために:がん専門病院・一般病院,在宅,緩和ケア病棟のどこでも緩和ケアが受けられ,スムーズに選択でき行き来できるような地域のネットワーク作りが重要である.(3)「その人らしさ」を支えるために:終末期において大切なことは人により様々である.インフォームド・コンセントから一歩進んで,インフォームド・チョイスの提供が求められる.(4)緩和ケアを「広げる」・「深める」ために:緩和ケアの均てん化のための研修会やガイドラインの普及,専門化のためのシステム作りが進んでいる.(5)緩和ケアを「つなげる」ために:身体面・精神面・社会面・スピリチュアルな面を含むがん患者のトータルペインには,医師・看護師・薬剤師・栄養士・リハビリ職・心理職・ソーシャルワーカーなど,多職種合同チームによるアプローチが重要である.
索引用語:緩和ケア, インフォームド・チョイス, トータルペイン, 多職種合同チーム

肺癌 51 (2):131─134,2011

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