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第51巻第2号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第24回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

緩和ケアの秘訣と心得―薬剤師の立場から―

岡本 禎晃1
1大阪大学大学院薬学研究科病院薬学分野

緩和医療における薬剤師の重要な役割のひとつに患者・家族への説明がある.患者への薬物療法についての説明は服薬指導というかたちでここ20年の間に各診療科において行われ,発展してきた.それぞれの診療科における服薬指導にはそれぞれの特徴があるように,緩和医療においても特徴がある.緩和医療における代表的な症状である痛みの治療に関する説明は,一般的な服薬指導に加えて「痛みとは」という病態の説明や「オピオイドに対する誤解や偏見」に対する対応といったことを,患者本人だけでなく家族にも行う必要がある.「痛みとは」私たちが感じる不快な感覚であるということ,また痛みは治療対象であり,主観的であるので,痛みを我慢しないよう我々医療従事者に訴える必要があることを,患者・家族に繰り返し説明しなければならない.「オピオイドに対する誤解や偏見」については,2008年に日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団が「2008年度ホスピス緩和ケアに関する意識調査」を公表している.それによると,最も多い回答は「痛みを緩和するもの」であったが,その他は「最後の手段」をはじめ,「副作用がある」,「依存になる」,「体に悪い」,「中毒になる」,「寿命が縮む」などの否定的な回答が多くみられた.このような社会状況の中で患者になった人,その家族になった人にオピオイドを正しく理解してもらい,薬物療法の効果を最大限に引き出すための説明が必要である.
索引用語:緩和ケア, 薬物療法, 説明, オピオイド, がん

肺癌 51 (2):135─138,2011

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