タイトル
第51巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

腸型肺腺癌の1例

藤田 敦1, 中里 宜正2, 橘 啓盛2, 風間 俊文3, 佐藤 浩二3, 湊 浩一3
群馬県立がんセンター 1呼吸器外科, 2病理部, 3呼吸器内科

背景.腸型肺腺癌は稀な組織型であり,大腸癌の転移性肺腫瘍との鑑別が重要となる.症例.74歳,男性.咳嗽を主訴に近医を受診したところ,胸部CTで右S3に57 mm大の腫瘍を指摘された.気管支鏡では右B3aから突出する腫瘍が認められ,組織学的には高円柱上皮が腺管を形成する病変であった.免疫組織化学的にはCK20(+),CK7(-),TTF-1(-)であり,大腸癌の転移が疑われた.上部内視鏡および下部内視鏡を行ったが肺野以外に病変がないため,原発性肺腺癌として右上葉切除術+ND2aを行った.永久標本の組織像も内視鏡下生検と同様で大腸癌に類似した組織像であり,CK20(+),CDX-2(+),MUC2(partly+),CK7(-),TTF-1(-),SP-A(-)から転移が疑われる所見であったが,臨床的な総合判断より腸型肺腺癌と診断した.結論.腸型肺腺癌は組織学的あるいは免疫組織化学的に確定診断が困難であり,消化管の精査が重要である.
索引用語:肺癌, 腸型肺腺癌, 免疫組織化学検査

受付日:2010年12月15日
受理日:2011年3月2日

肺癌 51 (3):188─192,2011

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