タイトル
第51巻第3号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

洞房結節転移,心筋転移を認め突然死をきたした原発性肺癌の1例

長神 康雄1, 吉井 千春1, 城戸 貴志1, 石本 裕士1, 矢寺 和博1, 迎 寛1
1産業医科大学呼吸器内科

背景.原発性肺癌の心臓への転移は稀に認められる.心臓転移の中でも心筋転移は頻度が低く,洞房結節転移に至ってはほとんど報告されていない.症例.81歳男性.2007年7月に右上肺野に腫瘤影を指摘され,経過観察されていた.2009年1月に血痰を認め,3月に気管支鏡検査を施行されたが確定診断には至らなかった.4月のPET/CTで右上葉の原発性肺癌が強く疑われ,放射線治療を施行された.外来で加療中に放射線肺炎を認めたため9月に入院した.放射線肺炎は軽快したが,第40病日に突然死した.剖検所見で右上葉に腺癌の成分を伴った多形癌を認め,洞房結節転移と多数の心筋転移を認めた.右肺中葉に2 cm大の細気管支肺胞上皮癌を認め,重複癌であった.結論.突然死の原因は肺癌の洞房結節転移による不整脈と考えられた.本症例の臨床経過は一般的な肺癌の臨床経過と比較し特異であり,肺癌の洞房結節への転移は極めて稀であり,貴重な症例と考えられた.
索引用語:原発性肺癌, 洞房結節転移, 心筋転移

受付日:2011年2月18日
受理日:2011年3月31日

肺癌 51 (3):212─216,2011

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