タイトル
第51巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

Pemetrexedによる薬剤性間質性肺炎が考えられた1例

藤田 雄1, 平野 聡1, 竹田 雄一郎1, 杉山 温人1, 小林 信之1, 工藤 宏一郎1,2
1独立行政法人国立国際医療研究センター呼吸器科, 2独立行政法人国立国際医療研究センター国際疾病センター

背景.Pemetrexedは悪性胸膜中皮腫および進行期非小細胞肺癌を適応疾患とした複数の葉酸代謝酵素を同時に阻害する抗癌剤である.近年,特に肺癌領域においてその重要性が増している.一般に薬剤副作用が少ないと言われているが,現在までにpemetrexedによる薬剤性間質性肺炎の報告がいくつかなされている.症例.症例は76歳女性.労作時呼吸困難を主訴に当院入院となり,胸部X線にて右大量胸水を認めた.精査にて肺腺癌(T3N0M1a)と診断された.1st lineとしてpemetrexed単剤治療を開始.3コース目第10病日より労作時呼吸困難および乾性咳嗽を認め,胸部CTで左肺優位にびまん性すりガラス陰影と小葉間隔壁の肥厚を認めた.気管支肺胞洗浄にてリンパ球分画上昇と経気管支肺生検にて胞隔炎の所見を認めた.またpemetrexedに対する薬剤リンパ球刺激試験が陽性であった.ステロイド加療にて自覚症状と画像所見の改善を認め,臨床経過からpemetrexedによる薬剤性間質性肺炎と診断した.結論.非小細胞肺癌に用いたpemetrexedによる薬剤性間質性肺炎の1例を経験した.Pemetrexedは今後,特に非小細胞肺癌において使用頻度の増加が予想され,投与の際は稀ではあるが時に重症ともなり得る薬剤性間質性肺炎の合併に注意すべきと考えられた.
索引用語:薬剤性間質性肺炎, 薬剤リンパ球刺激試験, 肺癌, Pemetrexed

受付日:2011年2月21日
受理日:2011年4月27日

肺癌 51 (4):237─242,2011

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