タイトル
第51巻第4号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

限局型肺小細胞癌に完全寛解導入して6年後局所再発を認めた1例

大成 功一1, 大田 加与1, 西田 幸司1, 三宅 浩太郎1, 郷間 厳1, 岡崎 浩2
1市立堺病院呼吸器内科, 2植木病院内科

背景.限局型肺小細胞癌に完全寛解を導入した場合,5年を超えてからの再発は稀と考えられている.症例.72歳男性.胸部異常陰影で紹介され,左舌区原発の限局型肺小細胞癌と診断した.carboplatin+etoposideと同時併用胸部放射線照射で完全寛解となり,以降外来経過観察とした.肺癌発症の3年後前立腺癌を併発したがホルモン療法で寛解した.肺癌発症の5年4か月後,残胃癌とその多発遠隔転移が診断されS-1による化学療法が開始された.残胃癌発症の6か月後胃の狭窄で入院となった.このときの胸部X線にて肺門部に腫瘤陰影を認めた.気管支鏡にて左舌区の閉塞を認め組織診にて肺小細胞癌と診断した.肺癌は急速に進行したため,緩和医療に終始し肺癌初回治療6年後に死亡した.剖検の結果残胃癌全身転移,肺小細胞癌左舌区再発・肺内転移が確認され前立腺癌の再発は認められなかった.結語.限局型肺小細胞癌は完全寛解導入後5年を超えて長期生存が得られても,他部位に異時性重複癌の発生が見られることが知られているが,さらに肺小細胞癌の晩期再発もあり得るため長期間注意深い経過観察が必要である.
索引用語:限局型肺小細胞癌, 長期生存例, 晩期再発, 異時性三重癌

受付日:2010年10月6日
受理日:2011年5月24日

肺癌 51 (4):259─264,2011

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