タイトル
第51巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

CT上多発結節影を呈し,気道内進展形式をとった末梢扁平上皮癌の1切除例

砂留 広伸1, 花谷 崇1, 野口 哲男1, 松井 千里2, 河野 朋哉2, 寺田 泰二3
市立長浜病院 1呼吸器内科, 2呼吸器外科, 3京都桂病院呼吸器外科

背景.肺扁平上皮癌は,画像上腫瘤状陰影を呈することが多いが,今回我々は,気道内進展により肺内転移を伴わずに多発結節影が認められた肺野型扁平上皮癌の症例を経験したので報告する.症例.81歳男性.健康診断で胸部異常陰影を指摘されて当科を受診した.CTでは右S2aに限局した複数の小結節影を認めた.まず感染症が疑われたが,喀痰検査などで有意な病原微生物は認められなかった.一方,喀痰細胞診で扁平上皮癌を認めた.咽頭癌や喉頭癌の所見はなく,肺内転移を伴う肺扁平上皮癌と考えて手術を行ったところ,結節影を呈したのは気道腔内に沿って連続的に進展する腫瘍であったことが病理結果で判明した.結論.非典型的なCT所見を呈した肺野型扁平上皮癌を経験した.画像上,多発小結節影を呈していても,悪性疾患を考慮する必要がある.
索引用語:肺癌, 扁平上皮癌, 多発小結節影, 気道内進展

受付日:2011年3月8日
受理日:2011年6月29日

肺癌 51 (6):707─711,2011

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