タイトル
第51巻第6号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

肝細胞癌の孤立性縦隔転移の1例

寺町 政美1, 中川 正嗣1
1大阪府済生会野江病院呼吸器外科

背景.肝細胞癌の孤立性縦隔転移は稀である.症例.症例は51歳,男性.多発肝細胞癌に対する肝動脈塞栓療法中に,前縦隔の結節影を指摘された.胸部CTやMRIで周囲への浸潤を認めず,非浸潤性胸腺腫の術前診断で,胸腔鏡下胸腺右葉切除術を施行した.Hep Par 1を含む免疫染色の結果,肝細胞癌の縦隔転移と診断した.3ヶ月後に腹部大動脈周囲のリンパ節が孤立性に腫大したため,縦隔転移も前横隔膜リンパ節への孤立性転移であったと診断した.術後18ヶ月の現在,UFTを内服しながら担癌生存中である.肝細胞癌の孤立性縦隔転移は極めて稀であり,本邦での報告は本例を含めても11例に過ぎない.この11例中,局所のコントロールが良好であった5例は1年以上の予後が得られており,孤立性縦隔転移を摘出する意義は十分あると思われた.結語.肝細胞癌の孤立性縦隔転移に対して胸腔鏡下摘出術を行うことで,予後の改善が得られる可能性がある.
索引用語:肝細胞癌, 孤立性縦隔転移, 胸腔鏡手術

受付日:2011年3月10日
受理日:2011年8月2日

肺癌 51 (6):736─741,2011

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