タイトル
第52巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

切除後2年生存を得られた巨大肺癌肉腫の1例

廣野 素子1, 門倉 光隆1, 片岡 大輔1, 楠本 壮二郎2, 斉藤 光次3, 国村 利明3
昭和大学病院 1呼吸器外科, 2呼吸器内科, 3病理診断科

背景.肺癌肉腫は,一般的に予後不良とされる稀な悪性腫瘍である.治療については症例数が少なく,また術前診断が困難であるため,確立されたものがない.症例.64歳男性.血痰を主訴に受診し,右肺に径17 cm大の巨大腫瘤と肺門部リンパ節腫大を指摘された.臨床診断は非小細胞肺癌を疑い,cT3N1M0,stage IIIAと診断した.胸骨正中切開ならびに右横切開を加えて右肺全摘除術を施行した.術後の病理診断でpT3(最大径17 cm)N0M0,stage IIB,肺癌肉腫と診断された.術後は補助療法を施行せずに経過観察していた.術後24ヶ月で肺炎,呼吸不全にて死亡したが,死亡直前まで明らかな再発や遠隔転移を認めなかった.結論.比較的大きな肺癌肉腫に対し完全切除し得た1症例を経験した.術後補助療法を加えることなく2年間無再発であった.予後不良とされる巨大肺癌肉腫においても,完全切除により予後の改善を期待しうることを経験し,文献的考察を加え報告した.
索引用語:肺癌肉腫, 右肺全摘除術

受付日:2011年3月3日
受理日:2012年1月6日

肺癌 52 (1):43─48,2012

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