タイトル
第52巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 症例 ─

細気管支肺胞上皮癌様の進展形式を呈した肺炎型肺腺癌の1例

深井 隆太1, 相良 博典2, 坂尾 幸則3, 宮元 秀昭4, 植草 利公5, 鈴木 健司6
獨協医科大学越谷病院 1心臓血管外科・呼吸器外科, 2呼吸器内科, 3がん研有明病院呼吸器外科, 4総合南東北病院呼吸器センター呼吸器外科, 5関東労災病院病理診断科, 6順天堂大学医学部附属順天堂医院呼吸器外科

背景.気道を介した病変の多発・両側性進展(aerogenous dissemination)は細気管支肺胞上皮癌に典型的であるが,腺癌でも同様の進展を示す場合があり,肺炎型肺腺癌として報告されている.症例.65歳,男性.血痰を主訴に受診,喀痰細胞診で腺癌と診断された.胸部X線写真で,右下葉に一致した肺炎様硬化像を認め,胸部CTでは右下葉内に嚢胞性変化を伴った病変であり,中葉にもわずかに陰影がみられた.術中所見で肉眼的に中葉に異常を認めず,右下葉切除,リンパ節郭清を施行,pT2N0M0,ステージIB期であった.術後UFTを内服していたが,4ヵ月目で中葉病変が拡大し,対側にも病変が出現したため化学療法を開始した.しかしその後も病変は拡大し,レジメンを変更して化学療法を継続したが治療抵抗性であり,術後1年5ヵ月で癌死した.結論.腺癌には,肺胞上皮癌と同様の進展を示す肺炎型肺腺癌が存在する.特異的な臨床経過を示し,予後不良なため注意が必要である.
索引用語:肺炎型肺腺癌, 経気道進展, 細気管支肺胞上皮癌, 肺転移

受付日:2011年7月21日
受理日:2012年1月6日

肺癌 52 (1):49─53,2012

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