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第52巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第25回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

N因子分類(解剖学的位置と転移個数)の方向性

佐治 久1, 池田 徳彦1
1東京医科大学外科第1講座

はじめに.UICC-7th TNMより,Naruke-Japanese MapとMD-ATS Mapは統一されIASLC Mapとなり,N1, N2の境界は明確になった.しかし,これはあくまでも解剖学的位置から定義されたものであり,生物学的悪性度を反映しているかは明確ではない.大腸癌,泌尿器,頭頚部癌領域の規約ではリンパ節転移個数がN因子の規定に組み込まれている.一方,非小細胞肺癌においてリンパ節転移に起因する悪性度は,腫瘍からの解剖学的位置(距離),もしくは転移個数(数)のどちらが正確に反映しているかは不明である.対象・方法.2000年から2007年に当院にて行われた肺癌手術は1311症例ある.そのうち術前導入療法施行例,縮小切除例,不完全切除例および組織学的に小細胞肺癌と診断された症例を除いた928症例を対象とした.臨床病理学的因子と予後に関して統計学的に検討した.結果.リンパ節転移を認めた204例の検討では,pN1:≧4;N1群までの転移で個数は4個以上の群はpN2:1-3;N2群までの転移で個数は1~3個の群と比べて統計学的に予後の悪い傾向があった.結語.リンパ節転移個数は解剖学的位置と比較しても予後因子として重要な因子であり,今後の改訂では解剖学的位置とともに組み込む必要が示唆された.
索引用語:リンパ節因子, 解剖学的位置, 転移リンパ節個数, IASLCリンパ節マップ

肺癌 52 (1):61─67,2012

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