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第52巻第1号目次 Japanese/English

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Article in Japanese

─ 第25回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─

肺癌登録とQuality Indicator

東 尚弘1, 淺村 尚生2
1東京大学大学院医学系研究科健康医療政策学/公衆衛生学分野, 2国立がん研究センター中央病院呼吸器腫瘍科呼吸器外科

がん医療の均てん化が唱われたがん対策基本法が施行され医療の質への関心が高まっている.医療の質を評価測定するためには,効果についてエビデンス/コンセンサスのある標準診療を診療の質指標(Quality Indicator,QI)として実際に患者の受けた診療を検討し,対象患者のうちどの程度の割合で標準診療が行われているかを検証する方法がある.そこで肺癌診療ガイドラインのグレードの高い推奨を元に,関連専門家パネルによるデルファイ変法という国際的に標準的方法とされる手法を用いて35項目の指標を決定した.現在,他のがん種とともに協力病院を募って診療録から情報収集して調査を行っているところであるが,各学会の収集する臓器がん登録においても一部のQIは適用可能であり,またQI集計のフィードバックが施設への参加動機を作り出す情報サービスになるとも期待できる.しかし,肺癌登録の項目を検討した結果,7項目のQIが算定可能と考えられるも,そのうち6項目は必要事項の診療録記載を吟味するQIであり,現状では適用する意義は薄いと考えられた.今後臓器がん登録の発展的な運用を考える上で施設負担も考慮しながらQIフィードバックの仕組みなど,検討の価値はあると考えられる.
索引用語:医療の質, 肺癌登録, 均てん化, 診療の質指標, デルファイ変法

肺癌 52 (1):72─76,2012

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