第52巻第1号目次 | Japanese/English |
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─ 第25回日本肺癌学会肺癌ワークショップ ─
UICC第7版の主たる改訂点と“肺癌取扱い規約”における日本肺癌学会の対応
光冨 徹哉1, 福井 高幸1, 日本肺癌学会肺癌取扱い規約委員会1愛知県がんセンター中央病院呼吸器外科
目的.日本肺癌学会肺癌取扱い規約委員会は,UICCのTNM分類第7版改訂に対応して取扱い規約の見直しを行い,2010年3月に確定版を完成したが,その経緯の説明と内容を解説すること.方法.UICC TNM分類第6版,第7版,肺癌取扱い規約第7版の異同を主に検討した.結果.主な変更点は,1)T因子の腫瘍径による細分化,2)悪性胸水をT4からM1a,同側他葉腫瘤をM1からT4へ変更,3)胸膜浸潤分類をPLとして,PL1からT2としたこと,4)旧IBとIIBの一部を新IIAに移動,旧IIIB期の一部を新IIIAに移動,5)リンパ節マップの変更などである.今回の改訂では病期ごとの症例数と予後の分散は良好になった.しかし,病期とTN因子の組み合わせは複雑になった.悪性胸水や同側他葉腫瘤のようにTとM因子をまたいでの変更も混乱を生じやすい点である.結論.TNM分類が予後を反映することはもちろん重要である.しかし,EGFR変異とEGFR-TKIのように特定の肺癌に特定の薬物が劇的に奏効し予後を改善する度に,TNM病期を改訂していくのかについては議論が必要である.
索引用語:肺癌, TNM分類, リンパ節マップ, 肺癌取扱い規約
肺癌 52 (1):80─84,2012